大栗裕作曲『大阪俗謡による幻想曲』〜もとは管弦楽曲だった?
2022/11/11
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以前に書いた、吹奏楽のための神話~天岩戸の物語によるの作者と同じ大栗裕の名曲です。
土俗的な音楽を得意とする作曲者で、この曲は、大阪のお祭りで使われている祭囃子をもとに、幻想的な静けさや、お祭りのにぎやかさなどを表現しています。
吹奏楽コンクールでは伝説となっている、大阪府立淀川工業高等学校の名演を覚えている方も多いかもしれません。
曲は、意外と知られていませんがもともとは管弦楽のために作られた曲です。
それを作曲者自身が吹奏楽用にアレンジしなおしています。
冒頭の力強い一音の後、打楽器が一度締め、サックスのメロディに移っていきます。
サックスのメロディは、祭りが始まる前の静かな朝の空気感のようです。
そこに木管の旋律が始まり、お祭りの準備に人びとが動き出した感じでしょうか。
バックに金管の合いの手も入ります。
メロディが木管から金管に移り、高音のゆったりした木管のメロディと金管中低音の掛け合いで徐々に盛り上がってきます。
その後、サックスのメロディに戻り、徐々に静かな朝に戻っていきますが、冒頭の力強い一音が鳴り、祭りが始まります。
祭囃子の中心は、大阪のまつりなどでよく使われる「ちゃんちき」とよばれる金属製の太鼓のようなもので、祭囃子のあちこちで効果的に出てきます。
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曲は色々な祭囃子があちこちで演奏しながら、徐々に盛り上がってきます。
トランペット、ユーフォニウム、クラリネットと順に旋律とともに楽器も変わり、祭りのいろいろな雰囲気が表現されているようです。
そこから、スネアドラムに誘導されるように、ピッコロの軽快な旋律が始まります。祭りの中で、踊りが始まったような感じです。
ここから、曲は一転しオーボエのソロになります。
ここのソロは、静かに時がながれる神殿の中のようです。
朗々と歌い上げるオーボエのソロは、鳥肌が立つような神聖な感じがします。
ソロが終わると、曲はいよいよクライマックスに向けて徐々に祭囃子も最高潮に盛り上がってきます。
今までに出てきたお囃子が、次々に演奏されてきて、最後に1つになって一気にテンポアップします。
祭りの最後を飾るのは、打楽器による祭り拍子の掛け合いです。
ティンパニと、ちゃんちきと、雅楽鈴が祭りの激しさをさらに盛り上げて、締めてくれます。
演奏が終わった後は、祭りに参加して一汗かいたような爽快感のある名曲です。