吹奏楽のための神話「天岩戸の物語による」大栗裕作曲|日本の名作曲者
2022/11/11
吹奏楽の名曲と言えば、思い浮かぶのもはたくさんあります。
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前回は、アルメニアンダンスパート1を紹介しましたが、今回は、大栗裕作曲・吹奏楽のための神話「天岩戸の物語による」を紹介していきます。
大栗裕は、日本のバルトークと呼ばれる土俗的な民謡や習慣の音楽が特徴的な作曲家です。
いくつもの名曲を生み出していて、仮面幻想や大阪俗謡による幻想曲、吹奏楽のための小狂詩曲などがあり、その中の一つに、吹奏楽のための神話(以下、神話)があります。
神話の曲のもとになった物語は、天岩戸の物語。
物語の始まりは、傍若無人にふるまっていたスサノオノミコトがあまりにも乱暴で、ついには天照大神の娘を誤って殺してしまいそれに怒った天照大神は、天岩戸に隠れ、世界が闇に包まれます。
曲は、この天照が天岩戸に入ったところから始まります。
木管による小さな音符の急下降とそれに続くティンパニの衝撃的な音で始まり、仄暗いゆっくりとした旋律が始まります。
ゆっくりとした旋律は、まさに闇に包まれた世界。
その闇に包まれた世界の中、常世の長鳴鳥(トランペット)の鳴き声が響き渡ります。ここはまさにニワトリが鳴いているようです。
その直後から、鼓を模した、ボンゴとコンガの激しいリズムが始まり、アメノウズメによる踊りが始まります。
踊りは、さらに激しく、時には静かになりながら、周りの八百万の神を巻き込んでますます盛り上がります。木管は細かな旋律で踊り、金管はその後ろで騒ぐ神々のようです。
その頃、天岩戸の中では天照大神は外がにぎやかになったので、天岩戸の中から何が起きているのか、様子をうかがっています。
クラリネットソロと、オーボエの静かなソロパートが天照の思いを表現し、とても印象深い曲調になっています。
ここからいよいよクライマックスに向けて曲が動き出します。
トランペットによる常世の長鳴鳥の鳴き声が、また聞こえてきます。
それを見ていた神々とタヂカラオは、天照大神が天岩戸を空けた時、その怪力で、天岩戸を開け天照大神を引きずり出しました。
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この時の低音楽器の重さと、金管の夜明けを思わせる旋律は冒頭のメロディと同じく、木管の細かな急下降音と、常世の長鳴鳥のトランペットに続く、鼓の連打からのクレッシェンドからのスフォルツァンドで締めて物語が終わります。
聴いていて、まさに神話を思い浮かべるような曲です。
ちなみに、僕が高2の時のコンクールで演奏した思い出の曲でした(笑)